寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「兄貴とはどういう関係?」
「――はい!?」
静かにしようとさんざん気をつかっていたのに、そのひと声で全て台無しだった。
店内のお客さんどころか、店員まで一斉に私を見る。どの顔もなにごとかと訝っていた。
しまったと思いつつ、周りに頭を下げる。
琢磨さんは薄っすらと片方の口角を持ち上げた。
「いい反応だね」
「ど、どういう関係って別に……。社長と秘書です」
唇を震わせながらきっぱりと言ったところで、琢磨さんは引き下がらない。
「それだけじゃないはずだ」
「……そ、それじゃ、どういう関係だとお、おっしゃるんですか?」
動揺していることは見え見えだろう。
目はあちこち泳ぐし、言葉もつっかえてしまった。
「茜ちゃんが出社した初日、兄貴とクラッセンに行かなかった?」