寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「……それは、秘書の業務として、朝は社長をお迎えにあがることになったからです」
風見さんから入れ知恵されたことをそのまま口にする。
琢磨さんには「ふーん」とからかうように小刻みに頷いた。
もしかしたら、単なる言い訳にしか聞こえていないのかもしれない。
……実際はそうなのだけど。
「どっちにしても、兄貴がデパートで秘書に洋服を買い与えるような粋な計らいをする男だとは知らなかったな」
「……琢磨さんはそういったことは慣れていらっしゃるようですね」
痛いところを突かれた反撃のつもりはないけれど、つい言ってしまった。
琢磨さんは目を丸くしたあと、「またそんなことを言うのか」と笑いながら軽く私を睨む。
「クラッセンに女性を連れて行って、いろいろと買い与えているとお聞きしました」
参ったなと頭を掻き、琢磨さんは罰が悪そうだった。
「あそこのスタッフは口が軽いな」