寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「本当にそうですね。私もそう思います」
エイミーさんがそこに納得できないのはわかる。
理玖さんは、私のどこがよくて好きになってくれたんだろう。
あるとすれば料理がそこそこできる点くらいしか思い浮かばない。
「おい、エイミー。茜をいじめるなら今すぐ出ていってもらうぞ」
タオルで頭を拭きながら理玖さんがやってきた。
「もっと私に遠慮してよ。そんなにアカネ、アカネって言わないで。……それにしても本当にセクシーね」
エイミーさんが理玖さんの胸元に伸ばそうとした手は、無情にも彼に払われてしまった。
「ほんと私には冷たいんだから」
「優しさはエイミーのためにならないからな」
「そんなこと言うなら、無理やりお酒を飲ませて押し倒しちゃうんだから」
理玖さんの目が鋭く細められる。
それを見たエイミーさんは「ごめんなさい」と即座に謝った。
そして翌日の朝、私たちと一緒にマンションを出たエイミーさんは、「お幸せにね」という言葉を残し、その足で空港へと向かった。