寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「……茜?」
一旦手元に逸らした目を再び理玖さんへ向ける。
「理玖さんは選択を間違えていると思います」
失礼なことを言っているのは承知の上だった。
以前、琢磨さんが言っていたことを思い出したのだ。
『兄貴がなにを選ぶか』
それによって会社の未来が変わると。
「選択を間違えてる?」
理玖さんが訝しそうに目を細める。
「……ミヤコさんの話は受けるべきじゃないかと思うんです」
声がかすれた。
言い終えて閉じた口が震えないように、下唇をぐっと噛む。
「本気で言っているのか?」
理玖さんの声のトーンが即座に低くなった。