寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
◇◇◇
それから数日経ったある朝のことだった。
まだ夢見心地にまどろんでいる最中、畳の上でスマホが軽快な音を立てて鳴り始めた。
アラームかと思い、目を閉じながらスマホを手に取る。
あと少しだけ寝たい。
スヌーズにしようと片目を開けると、それはアラームではなく見知らぬ番号からの着信だった。
……誰だろう?
不審に思いつつ鳴り止まない着信音を止めるべく、応答をタップする。
「……はい」
私が返事をするや否や、『茜ちゃん』という声が聞こえてきた。
この声は……琢磨さん――!?
思いがけない人からの着信に、驚いて飛び起きる。
『いつまでそうしてくすぶってるつもりだ?』
「え? あ、あの……」
起き抜けで言われてなにも考えられない。
頭の中は軽いパニックだ。