寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「どうして琢磨さんが」
『番号なら田丸さんに聞いたよ』
「そうなんですね。それで、なにか……?」
『呑気だな、茜ちゃんは』
電話の向こうで琢磨さんが呆れているのが伝わってきた。
そう言われてしまうと、だらしない格好で布団の上にいるのが恥ずかしくなり、琢磨さんに見えるわけでもないのに正座をする。
『長期休暇はいつまで?』
……長期休暇?
なんのことを言っているのかわからなくてポカンとする。
琢磨さんは私が辞めたことを知らないの?
「私、辞めたんですが……」
『そうはなってないよ』
「えっ……」
絶句した。
「……どういうことですか?」