寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

「どうして琢磨さんが」

『番号なら田丸さんに聞いたよ』

「そうなんですね。それで、なにか……?」

『呑気だな、茜ちゃんは』


電話の向こうで琢磨さんが呆れているのが伝わってきた。
そう言われてしまうと、だらしない格好で布団の上にいるのが恥ずかしくなり、琢磨さんに見えるわけでもないのに正座をする。


『長期休暇はいつまで?』


……長期休暇?

なんのことを言っているのかわからなくてポカンとする。

琢磨さんは私が辞めたことを知らないの?


「私、辞めたんですが……」

『そうはなってないよ』

「えっ……」


絶句した。


「……どういうことですか?」

< 278 / 318 >

この作品をシェア

pagetop