寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「外って?」
『茜ちゃんが今いるアパートの外』
「……はい?」
どうして私がここにいることを琢磨さんが知ってるの?
布団から急いで抜け出し、カーテンを開け放つ。するとそこには、黒塗りの大きな車がものすごい存在感で停車していた。
『ね? いたでしょ』
琢磨さんから見えもしないのにコクンと頷く。
『茜ちゃんがそこにいることは、とっくの昔に兄貴も把握済み』
「えっ……」
そういえば、私が大家さんのところに部屋を借りたいと言いに行ったときに、大家さんが『本当に来おった』と言っていたっけ。
もしかしたら、理玖さんが先回りして大家さんに私が行くことを伝えてあったの?
『そういうことだから大急ぎで支度して空港に向かうこと。以上。じゃ健闘を祈ってるよ』