寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
勢いでニューヨークに飛ぶのはひとまずよしとして、そのあとはどうしたらいいのかと遅ればせながら思い始めていただけに、それは心強い知らせだった。
「どうかお気をつけて。ご健闘をお祈り申し上げておりますので」
寺内さんは深く頭を下げ、私を見送ってくれた。
出発時刻は十時四十分。
キャリーバッグを引っ張りカウンターへ行くと、すでに搭乗手続きが開始されているということだった。
「お急ぎくださいませ」と急かされ、搭乗ゲートへ向かう。
なんとかギリギリで飛行機に乗り込むと、そこでようやくひと息つけた気がした。