寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

「どうして声もかけてくれなかったんですか?」


まるで私を避けるかのように。


「別に意地悪をしたつもりはない。あのときはようやく先の展望が開けたところで、いろんな手続きがあったんだ」


ガラス張りのミーティングルームで、商談相手とがっちりと握手を交わしていたことを思い返す。
あれは私が思う以上の相手だったのかもしれない。


「足立社長の理不尽なやり方には、さすがに俺も腹を据えかねたんだ。切るなら切ってもらって構わないと、関連会社にはこちらから通知を出した」

「それじゃ、大口のクライアントは契約を解除したままなんですか……?」

「なあに心配することはない。それ以上の会社との契約は締結済だ」


それが、私が今日見た商談だったのかもしれない。
彼が言うには、アメリカに本社を置き日本でも大々的に展開している企業だそうだ。
ミヤコは足元にも及ばない規模らしい。

これまで培ってきたコンサルティング力があったからこそだろう。

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