寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「キミがよくても、俺の気がそれでは収まらないんだ」
とても押しの強い人だな……。
いつの間にか彼から遠ざかるように椅子の背もたれにぴったりと体を寄せている自分に気づいた。いつものごとく押せ押せムードに飲まれてしまいそうになる。
「これ以上いったい……?」
ひとり言のように声を漏らすと、彼は伸びていた背筋をさらにピンとさせた。
「単刀直入に言おう。一緒に暮らしてもらいたい」
私の耳はどうかしてしまったのかな。
風見さんが妙なことを言ったように聞こえた。
「聞いてる?」
「……あの、もう一度言ってもらえませんか?」
きっと聞き間違えだろうと思いつつ、彼の言葉を待つ。
「俺のマンションで一緒に住まないか」