寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

「好きなように言わせておけばいい。どのみち俺は茜とのことを隠す気はさらさらない」

「ですが……」

「そうはいかないよ、兄貴」


琢磨さんが割って入る。


「まだ社内の混乱は収まったばかりだからね。ここでまた社長と秘書との恋愛沙汰で従業員たちを騒乱の渦に巻き込むのはご法度! しばらくふたりのことは内密にすること」


琢磨さんは人差し指を真っ直ぐ立てて「いい?」と私たちに念を押した。

そう言われてしまうと反論の余地もない。
もとをただせば今回のミヤコ絡みの騒動は、私にも原因があるから。


「今はいいだろう。ただし、然るべきときがきたら公にするぞ」


理玖さんも琢磨さんの指示にひとまず異論はないようだ。


「それより兄貴、大切なことを忘れてないか?」

「大切なこと?」

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