寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「とにかくあとはふたりで仲良くしろよ。次に大ゲンカしたって、そのときは手を貸せないからな」
琢磨さんのセリフに沙智さんが隣でクスクス笑う。
「心配するな。茜とケンカなんかありっこない」
理玖さんは私の肩を引き寄せた。
「それからもうひとつ、これは会社として茜ちゃんにお願いしたいことなんだけど」
「……はい、なんでしょうか」
恋愛関係にあるふたりを同じ部屋に置いておけないなんて言われるのかな。
もしかしたら異動の話なのかも……。
緊張して喉をゴクリと鳴らす。
「今度、うちで講師をやってくれないか?」
「……講師ですか?」
まだ入社して間もない私になんの講師が務まるというのか。
琢磨さんはそこでフッと笑みを漏らした。