寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「茜ちゃんのあの整理整頓術を社内で周知させたいんだよね」
「茜が長期休暇を取っているときに来客で社長室に入って驚いたの。書棚の分類もデスクの中も、分類の仕方が素晴らしいから」
琢磨さんのあとを沙智さんが続ける。
単なる趣味の延長上にあっただけの片づけを……?
信じられない思いでふたりを見つめた。
「それはいいアイディアだ。茜のあの技術を埋もれさせておくのはもったいない」
理玖さんまで大賛成みたいだ。
「琢磨もたまにはいいことを言うな」
「おい、たまにはってなんだよ」
理玖さんに言われて琢磨さんは憮然とした。
「ですが、私が講師だなんて……」
人の前に立って話せるかどうかが最大の不安材料だ。
「大丈夫だ、茜ならやれる」