寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
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宅配の仕分けのアルバイトをしながら、家に帰れば段ボールに入ったままの風見さんの荷物を片づけ、一週間が過ぎた頃にはタワーのごとく積み上がっていた段ボールは残り数箱だけとなった。
その荷物のほとんどは難しい本ばかり。それらを整理しようと風見さんの書斎へ入る。
八畳ほどの部屋の左側の壁には一面に大きな本棚があり、まだ数冊しか入っていない。
黒いデスクはドアに真向うように配置されていた。
箱から数冊を取り出し、仕事関係の本、ミステリーなどの小説は分かる範囲の分類で本を並べていく。
そうしているうちに、手が届くところが全て埋まってしまった。あとは高い位置に並べるしかない。
脚立が見当たらなかったので、専門書らしき分厚い本を数冊抱えて椅子に上る。
それにしても小難しそうな本ばかり。
中には英字で書かれたものもある。
パラパラとめくってみたものの、日本語でさえ内容はチンプンカンプンだ。
さすがは日本有数のコンサルタント会社社長。本当にすごいなぁ。
そんなことを考えながら次々に本を棚へ収めていると、玄関のほうから物音が聞こえた。風見さんが帰ったみたいだ。
お味噌汁を温めなきゃと焦ったせいか体がバランスを崩し、背中から床にダイブするように大きく傾いた。