寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
風見さんと同じ名字だ。
もしかしたら親族?
そう言いながら目の前に座った男性が差し出した名刺を見てみれば、取締役副社長とあった。
「水城茜です。どうぞよろしくお願いします」
おずおずと挨拶をする。
「こちらこそよろしくね」
風見副社長が柔和な笑みを浮かべたので、私もなんとか口角を持ち上げた。
「早速ですが、水城さんには今日から社長の風見の面倒を見てもらいたいと思います」
「――はい!?」
風見副社長が放った言葉に驚き、のけ反った拍子に背中を椅子の背もたれに思いきりぶつけた。
隣で田丸さんが何事かと目を瞬かせていたので、「……すみません」と小さく謝る。
「あの、それはいったいどういうことなのでしょうか……?」