寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
てっきりパソコンでなにかを入力するだとか、雑務がメインの仕事だと思って応募したのだ。まさか社長に絡んだ仕事内容だとは思いもしなかった。
しかも面倒を見るって、つまりは……。
「ひと言で言えば秘書、かな」
「――ひ、秘書ですか!?」
これでもかと目を剥く。
人事部長の代わりに秘書室の田丸さんが迎えに来てくれた訳が今わかった。
「そんなに驚くことでもないんじゃないかな。履歴書の資格欄に秘書検定って書いてあったけど?」
「いえ、ですが……」
その検定は、大学時代に友達に流されて受けたもの。
しかも三級じゃ話にならないのでは……?
「実務の経験はまったくないんです」
正社員として働いたことすら二ヶ月だけ。
“履歴書には自分のアピールできるところを全て詰め込め!”と就活支援の本に書いてあったから、お飾りにすぎない秘書検定を記入したのだ。