寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「水城さんは履歴書の特技欄に整理整頓だと書かれていましたよね」
「はい……」
特技と呼べるとしたら、それしかないから。
「まさにぴったりだよ。兄貴はそれに関してはいろいろとうるさくてね」
「そう、なんですか……」
風見さんが口やかましいとは思えない。
「どうかした?」
「――あ、いえ」
慌てて首を横に振る。
「そんなに恐れなくても大丈夫だよ。あまりうるさいことを言ってると、秘書のなり手がなくなるって脅しておいたから。それに整理整頓が特技なら問題ない」
私の隣では田丸さんも大きく頷いていた。
「秘書の実務経験はないのですが……」