寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
田丸さんはもちろん、どの秘書も私が思わず目を逸らしたくなるほどキラキラしていて、とても綺麗だった。
そんな中で私が社長秘書なんて本当に大丈夫なのかな……。
ここへきて不安がさらに増幅する。
そうして取締役の部屋をすべて周り終え、私たちは一番奥の部屋の前へと来た。
「こちらが社長室です」
風見さんは私を見てどう思うだろう。
“なんでキミが”とか“場違いにもほどがある”なんて思われるかもしれない。
なにしろ家事か片づけくらいしか取り柄のない女なのだから。
心拍数が上昇していく。
田丸さんがノックして「失礼します」とドアを開けたので、私は俯いたまま彼女の背中に隠れるようにした。
「社長、おはようございます」
「おはよう」
悪いことをしているわけでもないのに体がすくみ上る。
「今日から社長の秘書をしてくださることになった方をお連れしました」