寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「どうされたんですか?」
「副社長室に迎えに行こうと思っていたところだ」
「……私をですか?」
「ほかに誰がいる」
確かにそのとおりだ。
「行くぞ」
「行くってどちらへ?」
「美容院だ」
反射的に風見さんの頭を見る。
少し癖のある髪は整髪料できちんと整えられていて、伸びているという印象は特にない。
秘書は社長の美容院にまで同行するものなのかという疑問も湧く。
「なにをポカンとしている。茜、キミの美容院だ」
「……へ?」
驚きすぎて変な返事になってしまった。
私を美容院へ?