世界は綺麗だった。
日常

律side ────────



店内に響く

ガヤガヤと客の声。

コツコツとヒールの音。

カチンとグラスの音。

聞きなれた音が響きわたっている。


私は高校2年生にして、

このクラブ“Jewelry”のNo.1ホステスに昇り詰めた。


高くて品のある赤のドレスを身に纏っている。

赤のドレスは私の白い肌に映えるから好きだ。

そして、今日も客に愛想笑いを振りまいている。


「雅ちゃんは今日もかわいいねぇ~」

『ふふっ、お世辞でも嬉しいです♪』

「あれ、お世辞じゃないのになぁ~」

『またまた~』

「今日、アフターどう?」


耳元で囁いてくるこの男。

今日は相当酔ってるらしい。

いつも私を指名してくれてる客の一人。

山代 隆司さん。

顔はまぁまぁいい方。 

28歳で相当なお坊ちゃまらしい。

今時、親のすねをかじって生活してるクズ。

でも、大金を落としてってくれる。


『一昨日もでしたよ~?
婚約者さんいるのにいいんですか?』

「いいのいいの~。だって、雅ちゃんの方がいいんだもんっ」

『ふふっ♪』

「じゃあ、雅ちゃんの仕事が終わったら一緒に。いつものホテルでいい~?」

『わかりましたっ♪』

「待ってるねぇ~」
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