世界は綺麗だった。
日常
律side ────────
店内に響く
ガヤガヤと客の声。
コツコツとヒールの音。
カチンとグラスの音。
聞きなれた音が響きわたっている。
私は高校2年生にして、
このクラブ“Jewelry”のNo.1ホステスに昇り詰めた。
高くて品のある赤のドレスを身に纏っている。
赤のドレスは私の白い肌に映えるから好きだ。
そして、今日も客に愛想笑いを振りまいている。
「雅ちゃんは今日もかわいいねぇ~」
『ふふっ、お世辞でも嬉しいです♪』
「あれ、お世辞じゃないのになぁ~」
『またまた~』
「今日、アフターどう?」
耳元で囁いてくるこの男。
今日は相当酔ってるらしい。
いつも私を指名してくれてる客の一人。
山代 隆司さん。
顔はまぁまぁいい方。
28歳で相当なお坊ちゃまらしい。
今時、親のすねをかじって生活してるクズ。
でも、大金を落としてってくれる。
『一昨日もでしたよ~?
婚約者さんいるのにいいんですか?』
「いいのいいの~。だって、雅ちゃんの方がいいんだもんっ」
『ふふっ♪』
「じゃあ、雅ちゃんの仕事が終わったら一緒に。いつものホテルでいい~?」
『わかりましたっ♪』
「待ってるねぇ~」
< 1 / 12 >