世界は綺麗だった。

黒服に体調を崩してしまったと嘘をつき、

店を出た。

案の定、高級車に乗っている千景さんがいた。

こんな高級車を乗り回してるなんて、驚いた。


コンコンッ


窓をノックした。

先生が入れ、と言ったのがわかった。

助手席に静かに座り、シートベルトをした。

先生は、車を発進させた。

そして、何も話さないまま大きなマンションに着いた。

「着いたぞ」

『ここは?』

「ついて来い」

無視ですか。

とりあえず、仕方ないのでついていく。

先生が、エントランスで番号を入力し終わると、

自動ドアが開いた。





今、ここは最上階らしい。

ドアを開けると、

「ここが俺の部屋だ、入れ」

と言った。

高級車といい、この家賃高そうな広い部屋といい、

何者なんだ、と思った。

『…お邪魔します』

「コーヒー飲めるか?」

コーヒーを注ぐ先生に、

『飲めます』

と答えた。


テーブルの所に座って待ってると、

先生がコーヒーを1つだけ持ってきた。


『あの、働いてる事学校に言うつもりですか?』


正直、学校には通いたい。

だけど、もし、学校言われて退学になっても

私は働かなきゃいけない。

じゃないと生活できないからだ。
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