世界は綺麗だった。
ふと見た時思った、
男慣れしてる私でも、
息を呑むほどだった。
薄っすらと焼けている肌に、
真っ黒な髪の毛、
目が合うと吸い込まれそうな
茶色がかった切れ目の瞳、
スーツの上からでも分かる少し筋肉質な身体。
身長は180cmはある。年齢は20代前半っぽい。
でも、すごく大人びて見える。
独特の、人を惹き付ける雰囲気がある。
だからといって、そこら辺の女子みたいに
好きになるわけがないけどね。
まず、先生だしね。
…
「りーつっ!帰ろ~」
『あっ、莉奈ごめん。桐生先生から用頼まれて放課後のこれって言われちゃって…だから、先帰ってて?』
「はーいっ、ってか桐生先生、こんなに可愛い律に目を付けるとは!」
『…莉奈、妄想しすぎー』
「あははっ、冗談、冗談~」
『ごめん、そろそろ行くね』
「はーい!ばいばーい」
『うん、じゃね』
…
本当に面倒だ。
他の女子ならきっと凄く嬉しがっていただろう。
そんなことを思いながら廊下を歩いていたら、
いつの間にか目的の場所に着いていた。