世界は綺麗だった。
ガラガラガラッ
『失礼します』
「あぁ、遠峰か」
『…用ってなんですか』
淡々と口にする遠峰。
早くしろとでも言いたげだ。
「そうだな、クラスの分のプリントを綴じて欲しいんだ」
『…はい』
一瞬、間を空けて返事をした。
「悪いな」
…
パチッパチッ
ホチキスの音だけが響き渡る。
遠峰は丁寧だがペースが早い。
『ふぅー』
どうやら終わってしまったようだ。
『終わりました。もう帰っていいですか?』
「あぁ、ご苦労。ありがとう」
『いえ、さようなら』
ガラガラガラッ パタン
そそくさと帰り支度をして帰ってしまった。
ふと、ドアの方に目をやると黒色の手帳と
名刺入れらしき物が落ちていた。
遠峰の物だろうか?