魚のまね
ほら、何だ、その。と彼は。


「俺たち同居人だからさ」

「……ただの同居人でしょ」


でも。


目が熱くなって、目をぎゅっととじる。


でも、


「……心配、してくれて、ありがとう」


そう、小さな声で呟いたら、肩にかけていたバスタオルで頭をゴシゴシと髪を拭かれた。


「痛ってぇ!」


顔を顰めながら見上げたら、お酒のせいで少し赤くなった顔が笑っている。


「泣くなよ、ばーか」

「泣いてねーよ、ばーか」


わたしは笑いながら、また熱くなった目から涙がこぼれおちないように、瞑った目に思い切り力を入れた。





 おわり


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