【3/9】
大人の先生が子供の私をどう思っているのか、なんて分かっている。
きっと私のことなんて「自分のクラスの一生徒」くらいの認識だろう。
そのことが分かっているからこそ、想いは伝えなかった。
先生を困らせたくなかった。
私が先生の悩みの種になるのは嫌だった。
壇上から降りるとき、先生と目があった。
いつものような優しい笑みを浮かべていた。
こんな先生を見るのも、もう今日で終わりなのかな?
そんなの寂しいよ、終わりにしたくない。
まだ先生の生徒でいたい。
かなわない恋だって、わかってるから。
だからこそ、最後に先生と2人で話がしたい。
最後だから、明日からはもう会わないからこそ想いの丈全てを伝えたい。
明日からは会えないからこそ、少しでも長い間 私のことを覚えていてほしい。
なんて、勝手すぎるよね。
……あぁ、クラス代表として先生に名前を呼んでもらえて良かったな。
本当に良かった。