カフェの人々
真由子は私の自慢の女友だちだった。
美人で頭も良くお洒落で、週末は真由子お薦めの店で仕事や恋の話で盛り上がった。
これからお金がかかるからと、安いアパートに引っ越した真由子は何ヶ月もヘアーサロンに行っていないようなパサついた髪に、剥がれかけたネイル、手入れされていない肌は以前はなかったシミが目立った。
「産後太っちゃって、前に着てた服が全部入らないのよね」
そう笑う真由子は近所の商店街で買ったような変な服を着ていた。
話の話題はもっぱら子どものことばかりで、私の自慢の真由子はもうどこにもいなかった。
真由子だったらもっといい男を捕まえられたはずなのに、自分のキャリアを諦めることなく、一緒に子育てをしてくれる新しいタイプの男を選ぶことができたはずなのに。
それが戦力外ギリギリのどれを取っても人から頭ひとつ抜けることのないような若い男に引っかかるなんて。
それもこんなかたちで捨てられて。