カフェの人々


 男は今ドキなスーツに身を包み、最近みな持っている銀色の薄いパソコンを広げている。

 あんな若造に私は騙されたのか。

 テーブルの下で握った手が震えた。

 たとえ男が警察に捕まっても騙し取られた金が戻ってくる可能性は限りなく低い。

 総額六億円。

 それは私の人生そのものだった。

 握りしめた手の内側に爪が食い込む。




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