カフェの人々
店内には静かにジャズがかかっている。
客たちは新聞や本を読んだり何かの勉強をしていたりする。
皆それが朝のルーテインなのだろう。
僕をふくめ朝時間に追われる人も多い中こういう過ごし方はいいと思う。
この店も週末はまた別の顔を見せるのかもしれないが、月曜の今朝は新聞を折りたたむ音さえはっきり聞こえるほど静かだ。
ポケットからスマホを取り出そうとしたが少し考え、手をコーヒーカップに戻す。
今この時間を何もせずに堪能するのも悪くない。
窓ガラスの向こうで音なく降る雨はときどき風に流されふわりと方向を変えた。
あの日もこんな雨が降る日だった。
雨が僕を物思いにふけさせるのだろうか、五年前の人身事故のことを思い出していた。