カフェの人々
眼鏡男
アイツの顔を見て反射的にトイレの隅の席に逃げた自分自身が情けない。
あれから十年以上もたつのに僕はまだアイツにビクビクしている。
忘れもしないアイツの顔、血にまみれた焼き印のように僕の胸に刻まれている。
藤木 拓也
中学時代、僕をいじめた男。
アイツは僕なんか覚えてなかった。
僕は一目見てアイツだと分かったのに。
アイツにとって僕は中学の三年間、自分の気分次第で小突きまわせる都合のいいおもちゃみたいな存在だったのかもしれない。
僕はと言えば、あれからずっといじめ後遺症に悩まされている。
突然不安でたまらなく怖くなるんだ。
とくにそれは夜中に突然やってくる。