きっと、ずっと、恋だった。



もう授業が始まっているせいで静かな廊下を歩いて教室に向かう。

あまり音を立てないようにガラリと教室のドアを開けると、近くに座っていた人たちが振り返る。

遅刻じゃん、って顔してニヤニヤする友達たちに、しー、と口に人差し指を当てて、席に座る。





「有沢、バレてるぞー」



黒板から振り返った先生に、へらりと笑って返す。



「バレてました…?」

「寝坊か?」

「まあそんな感じです…」

「気をつけろよー」




そして再開した授業。

ため息を飲み込んでバッグの中から教科書を出して、先生の話を聞き流す。



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