きっと、ずっと、恋だった。
「…あ、コウと柊香だ」
秋樹の視線を追って窓の外を見ると、ドッジボールが終わったのか校庭から帰ってくるクラスのみんな。
そして楽しそうに話しているのは、コウと柊香。
風に舞った桜の花が柊香の髪について。
それに気づいたコウが、そっと、宝物に触るみたいに優しく柊香の髪からそのピンクを取る。
声は聞こえないから何を話しているのかわからないけれど、幸せそうに笑い合うふたり。
それは時間にすればたった数秒。
だけど、映画のワンシーンみたいに綺麗な一瞬で、はっと息を呑むほど素敵な光景だった。
「…よかったね、あのふたり」
「そうだな、お似合いじゃん」
いいなあ。
私たちには見せない、柊香の可愛くて女の子らしい表情も。
コウの大人っぽくて優しい横顔も。