きっと、ずっと、恋だった。




「…あ、コウと柊香だ」



秋樹の視線を追って窓の外を見ると、ドッジボールが終わったのか校庭から帰ってくるクラスのみんな。

そして楽しそうに話しているのは、コウと柊香。





風に舞った桜の花が柊香の髪について。

それに気づいたコウが、そっと、宝物に触るみたいに優しく柊香の髪からそのピンクを取る。


声は聞こえないから何を話しているのかわからないけれど、幸せそうに笑い合うふたり。


それは時間にすればたった数秒。


だけど、映画のワンシーンみたいに綺麗な一瞬で、はっと息を呑むほど素敵な光景だった。



「…よかったね、あのふたり」

「そうだな、お似合いじゃん」




いいなあ。


私たちには見せない、柊香の可愛くて女の子らしい表情も。

コウの大人っぽくて優しい横顔も。


< 169 / 240 >

この作品をシェア

pagetop