きっと、ずっと、恋だった。
卒業式のリハーサルのため体育館に行くと、もう準備が整っていて並んだ椅子と壁に貼られた紅白の布。
本当に、明日、卒業しちゃうんだ。
なんだかふわふわとしていて、実感できなくて、明日で最後なんて思えなくて。
明日が過ぎて、月曜日になれば、またいつもの通り学校に来て、みんなで笑いあえるんじゃないかって思っている自分がいる。
「本当に卒業、しちゃうんだね」
「ね、なんか信じられない」
高嶺は卒業生の言葉を担当しているため、先生と打ち合わせ中。
コウと秋樹はクラスの男子たちと喋っている。
私と柊香はふたり、体育館の壁に寄りかかって、集まって来る生徒たちを見ていた。
「…芹奈、このままでいいの?」
少し迷ってから、柊香が口を開いた。
私は前を向いたまま答える。
「何がー?」