きっと、ずっと、恋だった。
「卒業生、入場」
そんな言葉と吹奏楽部の演奏とともに、開かれる体育館の扉。
拍手してくれる在校生と保護者、そして先生たち。
椅子と椅子の間の花道を歩くのは少し緊張して、知っている後輩たちが手を振ってくれるから笑い返したりした。
席は出席番号順だから、有沢と皆川である私と秋樹はかなり遠い位置にいる。
来賓の言葉や校長先生の言葉のあまりの長さに何度も眠りかけたけれど、卒業生の言葉で高嶺が壇上に上がった時には目が覚めた。
きっちりネクタイを締めて、いつもよりしっかりワックスでセットしたであろう髪。
「高嶺先輩かっこいい!」なんて小さな声が2年生の席から聞こえて、いつもそばにいると忘れがちだけどやっぱり高嶺はイケメンなんだなぁ、なんて思う。
「うららかな春の日差しに誘われてー…」
大好きな友達が卒業生代表として喋っているのは、なんだか誇らしい。