きっと、ずっと、恋だった。




「芹奈」



秋樹に会いたい。

そう思ってドアに向かおうとすると、ちょうど秋樹が教室に入ってきた。




「秋樹…」



「あのさ、俺ー…」




「好き」




染めたことのない、ふわっとした黒髪が好き。


少し猫背な後ろ姿が好き。


カメラのレンズを覗く、真剣な顔が好き。


くしゃっと笑う、子供みたいなところが好き。


授業中、眠そうに揺れる頭も。


たまに見せる、切なげな瞳も。


あの日触れなかった唇も、全部。



ぜんぶ、ぜんぶ、すき。






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