きっと、ずっと、恋だった。



「みんなはどうなの?」

「コウが柊香の前髪切るの失敗して、1週間口聞いてもらえなくなってたよね!」



可笑しそうに芹奈が言えば、慌てたように立ち上がるコウ。



「いや、もっとなんか他にあるだろ!何でそれ真っ先に言うんだよ!」

「前髪伸びるまで大変だったんだからー」


そして口を尖らせる柊香。



高校の時と全く変わらない空気に、会話に、声を出して笑う。


卒業って世界の終わりみたいに寂しく感じていたけれど、世界なんて終わってみればそんなもの。

前と全然変わらなくて、それでも前よりはやっぱり少し成長したみんながいる。

その変化は寂しいことじゃなくて、幸せなことなんだろう。




「高嶺は?彼女できた?」




ずっと気になっていたことを聞いてみれば、えー、と照れたように笑う高嶺。




「彼女にしたい人は、できた」





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