〈BL〉Amante segreto
**愁聖side**

静棋さんの息子さんが
僕に会いに来た時は
正直驚いた。

「あの、朱雀愁聖さんですよね?」

名前を呼ばれて驚いた。

だけど、彼が静棋さんの
息子だとしたら
僕を直ぐわかった理由は一つ。

静棋さんが僕の写真を
見せたに違いない。

バイだって話したんだな。

僕は戸惑いと驚きが
綯いませになった
表情(かお)をしているだろう(苦笑)

「もし今日、時間が
ありましたらマンションに来てください」

彼はそれだけ言い残して
行ってしまった。

午後八時を少し過ぎた頃
僕は駅からマンションまで
走っていた。

「来てくれると思ってました」

まだ少々戸惑っている
僕の手を取って
エレベーターに乗った。

息子さんがチャイムを鳴らすと
静棋さんが出てきて
僕と息子さんを見て
フリーズした。

まぁ、そうなるよな(苦笑)

息子さんは僕を
静棋さんに押し付け
帰る旨を早口で告げて
玄関を閉めてしまった。

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

息子さんが帰っていき
静棋さんは腕の中にいる僕を
ぎゅっと抱き締めた。

『愁、お帰り』

静棋さんの言葉にピクッと
身体が小さく震えた。

『静棋さん、今……』

何で……?

『お帰り』

もう一度、
同じ言葉を言われた。

この二年間、
僕はずっと
静棋さんのことばかり考えていた。

一旦、離して
中に入るよう促されるけど
僕は一向に動こうとしない。

だって、本当に
入っていいんだろうか?

そんなことを考えていたら
靴を脱がされ
抱き抱えられた。

『静棋さん‼』

耳元で非難めいた声をあげた
僕の言葉は気にせずに
リビングの椅子に座らせ
静棋はキッチンに向かった。

『ほら、これ、飲んで落ち着け』

ココアを僕の前に置いた。

流石、静棋さん。

『お久しぶりです』

ありきたりな
挨拶をしてみた。

『愁、会いたかった』

後ろから抱き締め
耳元で囁き、そこにキスをされた。

耳にキスをするのは[誘惑]

ベッドに
誘われてるんだよな?(照)

『静棋さん……』

嬉しい……

静棋さんがほしい。

『寝室に行こか』

椅子から立たせられて
手を繋いでリビングを抜け
寝室に向かった。

事後、僕は
完璧には眠っていなかった。

二年ぶりだったから
中々離してもらえなかった(笑)

そして、やっぱり
僕は静棋さんを愛してると
再確認できた。
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