lingerie


二日酔いでズキズキする頭がさらに痛くなった気がする。なんでこんなことになったんだっけ。なんで知らないベッドで寝てるんだっけ。昨夜の夜の記憶を掘り返してみると、埋めたくなった。自分を。

会社の人事部と総務部と営業部の合同飲み会で、案の定泥酔した。泥酔したのはいいが営業部の皆口君が彼女がいないからと犠牲となって持って帰ってくれたらしい。

「俺こんな泥酔してる人間に欲情するほど飢えてないですよ」

と冷え切った言葉を聞いて安心して持ち帰ってもらったのだ。
それなのになんでこんな状況になっているのかがわからない。
この生まれたままの姿は何があったのか。

とりあえず貸してもらったティーシャツを着ると、皆口君がコーヒーを持ってやってきた。

「あ、あの!」

「なに。」

超怖い。目がもう不機嫌を表している。

「やってない、よね」

その言葉を発した瞬間、気象が春の陽気から吹雪に変わったのかというくらい寒くなった。

「私そんなに魅力ない?つって、ポンポンポンポン服脱ぎ捨てた女は誰だよ。キーキーキーキうるさいし、ホント勃つ以前の話だよ」

「…うわ」

やらかしている。どこまでもやらかしている。彼は朝だというのに疲れ切っていて目の下のクマも凄い。なんということだ本当に。

「俺は恥じらって、服を脱ぐ姿に欲情すんの。マジシャンみたいなイリュージョンで脱ぎ散らかす女はそもそも圏外だ馬鹿」

物凄い言われようだけど当たり前だ。
どこの痴女だよ本当に勘弁してくれ。
項垂れていると、はぁとため息をついて皆口さんは「わかったなら、やり直せば?」と傲慢に言い放った。



< 2 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop