Miss you・・・
「いい?」という渡辺さんの声が聞こえてハッと我に返った私は、「はい」と返事をした。
と同時に試着室のドアが開かれ、蘇我さんと目が合った。

足を組んで悠々と座っている蘇我さんは、片手を椅子の肘掛に乗せ、もう片方の手は、顎に触れている。
そして私を値踏みするように見つめる目は、伏目がちなのに、とても強い視線だ。

だからなの?蘇我さんから目が離せないのは。

「どう?合格かしら」という渡辺さんの声で、私はここに蘇我さんと二人きりじゃなかったことを思い出した。

蘇我さんは私を見つめたまま、「いいね」と一言言った。
その言葉を聞いて、私はなぜか安心した。

「じゃあ5日分用意しといて」
「全部?」
「ああ」と蘇我さんは言うと立ち上がった。
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