Miss you・・・
「ええ!?ちょ、ちょっと蘇我さん!」
「何だよ」
「私、携帯なら持っていますけど・・・」
「ボロいから処分しろ」
「そ、そんな!」
「使い方は簡単だからすぐ慣れる。手放せなくなるぜ」
「蘇我さん・・・」
「俺とおそろい。色違いだけどな」と蘇我さんは言って、ポケットから自分のスマホを出した。

黒字にシルバーのオレンジマーク。
確かに同じ機種で新作だ。
ホントこの人って・・・ずるいよ。

私はため息を一つついて、ライムグリーンのスマホを赤いバッグに入れた。

『オレンジ』の新作カラーは、バリエーションがかなり増えて、オレンジマークの色とともに、好きな組み合わせを選べるんだよね。
ライムグリーンか。
コートの色とおそろいだ。

「その色、おまえに似合ってると思った」
「鮮やかだけど落ち着いた色合いですよね。蘇我さん?」
「ん」
「ありがとうございます。このお仕事採用されるよう、がんばります」
「頼むぜ」と蘇我さんは言うと、私の手をギュッと握った。
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