Miss you・・・
無言で威圧してくる蘇我さんを無視して、私は玄関のドアを開けた。
狭い部屋だけど、いつ誰が来ても慌てないよう、キレイに整えている。
とはいっても、誰かがここを訪れたことはないんだけど・・・。

玄関に一歩入った蘇我さんが、ますます大きく見えた。
いや違う。うちの玄関が狭いんだ。
だから玄関は、蘇我さんひとりで満員になってしまった。

私は遠慮がちに、「あの・・・」と声をかけると、「あ、わりい」と蘇我さんは言って、私と明を通してくれた。

蘇我さんは玄関に立ったまま、「明。おまえどこの小学校へ通ってる」と聞いてきた。
ドアは閉まっているけど、何せ狭い1DKだから、蘇我さんのバリトンは、私たちに難なく聞こえた。
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