Miss you・・・
「あ、そう・・・ですね」と引きつった笑みを浮かべて、かろうじて言い返したそのとき、「私の連れと知り合いでしたか」と蘇我さんが割り込んできてくれた。
蘇我さんが、さり気なく私と明の前に立ってくれたことが、私にはすごくありがたかった。

「おお、秀吉くんじゃないか!」
「吉田会長、お久しぶりです」と言って、軽く会釈をした蘇我さんと私を交互に見た吉田さんは、「ああ、そういうこと」と言った。

「納得していただけましたか」
「塩見くんにはウチも世話になっておるし、秀吉くんを怒らせたら後が怖いしな」と吉田さんは言うと、ガハハと笑った。

「ウチの社長は放任主義ですが、部下の言うことに耳を傾けてくれますので。この件も、ある程度なら好きにしていいと言われております」
「うーん。私も人のものに手を出すほど、困ってはいないんでね」

な、な、何!?蘇我さんっ!!

言葉遣いは丁寧だし、物腰は低いけど、この場の雰囲気は、完全に蘇我さんが掌握している。
私は蘇我さんの余裕ある表情を、チラッと見た。
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