Miss you・・・
なぜこの人は、変化にすぐ適応できるんだろう。
私は一歩前へ踏み出す前から、躊躇しているのに。

それに明のことを出したり、二人で解決していこうという言い方・・・ずるい。
もう後戻りはできないという状況なのを、さり気なく私に教えてくれたとしか思えない。

間違いなく策士だ、蘇我さんって。

「俺が言いたかったのはそれだけだ。んじゃ俺は1時間ほど仕事するけどいいか」
「はい、大丈夫です」
「靴下履いてるな?」
「はい」

私がうなされていたのを起こしてくれた日以来、蘇我さんは毎晩靴下を用意してくれる。
こういう優しい気配りが、蘇我さんはすごく上手い。

「じゃ、おやすみ」と言って私に背を向けた蘇我さんに、「いろいろありがとうございます」と私は言った。
「ああ。俺、押しが強すぎるかもしれないが、引く気はさらさらねえから。信頼してくれ、俺のこと」
私は布団を頭までかぶって、蘇我さんに背を向けると、「はい」とつぶやくのが精一杯だった。

意気地なしの私なりに、前へ進んでみます。
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