影喰い
そうしてサークル仲間の一部、総勢5人でやってきたのはこの町でも有名な心霊スポットらしい廃村。
廃村と言っても古びた木造家屋が数件あるだけの小さな集落らしい。
ぞろぞろとけもの道のような場所を歩き、小枝や葉っぱを踏み鳴らす。
やはり蒸し暑いし小虫が飛び回っていて最悪だが、友人たちは楽しそうにはしゃいですらいた。
「や~~、すっげー怖い雰囲気あるなぁ」
「ほんとほんと、もう今にも出てきそう」
なんて「怖い」と連呼していた。何も出ていないし何も出る筈ないのに何をそんなに怖がる必要があるのかと内心思いながらも、場を盛り上げる為に問いかけてみる。
「私、向かってる場所がどういう所か知らないんだけど、どんな話があるの?」
「そういや、そうだよね。織は地元じゃないから知らないのも当然か」
「ふふん、それなら俺が答えてしんぜよう」
と、今日の肝試しの発案者であるらしい彼が、ふざけながらも得意げに声を上げた。