影喰い


何かを期待しているであろう彼だが、私としては何も映りはしないだろうと冷めたような気持ちでいた。

この肝試しも各部屋を回れば終わるだろうし、早く終わらないかななどと考えていたのも束の間


「ふぁ?!」

「わっ?!っと」


手を繋いで歩いていた彼女が何かに躓いたかのようにバランスを崩す。


「大丈夫?」


反射的に私が支えて転ばずに済んだけれど、足元に出っ張りでもあったのだろうか。

目を凝らすも、足元は暗くてよく見えない。


「ありがとう、織。今何か引っ張られたような気がして……スカートが引っかかったのかなぁ?」


指先でロングスカートを引っ張って叩く。

「破れてないといいけど」と服の心配をしているくらいなのでどうやら大丈夫そうだ。


「おーい?二人とも大丈夫かー?」

「ん?あ、だいじょぶだいじょぶ〜〜!それより何かあった〜〜?」


気を取り直すように私の手を引っ張り、先頭を歩く彼の方まで引き連れられる。

私としては後ろで歩いていたかったのだが、手を繋いでいる為にそれも致し方ない事だろう。


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