石田先生、天使になる⁉︎
「僕はヤンと結婚する予定だった‼︎幸せな家庭を築いて、いつまでも暖かくて笑顔の絶えない家族になるはずだったんだ‼︎それが、それが心臓発作だなんて。そんなの認めない‼︎今すぐヤンと結婚するんだ‼︎」
パクさんは声を限りに叫んだ。
まだ自分の命が尽きたことを受け入れられないんだ。
それはよくある話。でもここままだと、ずっとこの世とあの世の狭間で彷徨う生き霊となってしまう。
そんな魂を導いて安らぎを与える、それが僕たち天使の使命。
だからここは辛抱強くパクさんを説得して__。
「ちょっと気持ち悪いな」
「なんだと⁉︎」
そんな先生の言葉にいきり立つパクさん。
「いや、先生は悪酔いしてるので気分が悪いってことです。そうですよね?先生、そうだと言って下さい」
「いや、パクがキショイって意味だけど?」
「先生⁉︎」
「だってそうじゃないかな?いつまでも暖かくて笑顔が絶えない家族って、そもそもが結婚に理想を抱き過ぎ。凍えるくらい寒くて、笑うことすらできない日々も繋がっている、それが家族ってもんじゃない?」
「まぁ、確かにそうかもしれませんけど。でもここは宥(なだ)めて現実を受け入れてもらうしかないんです。なるべく優しい言葉を掛けて」
小声で耳打ちすると、1つ頷いた先生は一歩前に躍り出た。
「パクさん」
とても柔らかく、包み込むような声と微笑み。
優しい声で先生は言いました。
「ヤンは整形している」
と。