石田先生、天使になる⁉︎


「それで、これは何かな?」


またもや怪訝__を通り越して、不信感を丸出しで先生が尋ねてきた。


だから僕は胸を張って答えました。


「約束したじゃないですか、天国1のご飯をご馳走するって。今日は先生のお陰でうまくいきましたし、新歓の意味を込めて僕が__」


「そうじゃなくて、これが何か聞いてるんだけど?」


「それは、天国1のご飯です」


僕たちの目の前には、お皿が1つずつ。もう目が眩(くら)むほど輝いているではないか‼︎


黄金の光を放つ、煌びやかな天国の名物。


その名も__。


「天使飯ですよ」


「ん?んっ?もう少しゆっくり」


「テンシハンです」


「天津飯ではなくて?」


「はい、天使飯です」


「この卵といい、甘酸っぱい香りの餡といい、所々に散らばるグリーンピースといい、アクセントの紅生姜といい、どっからどうみても中華の天津飯だけど?」


「やだなー、もっとよく見て下さいよー」


「そこには触れないつもりなんだが?」


「そこが天津飯と違うところじゃないですかー」


僕はおもむろに、天使飯にぶっ刺さっている串を引っこ抜いた。


その串には、みんな大好き、まーるいアイツ。


「もしかしてそのドーナツ、餡と絡めて食べるわけじゃないよね?」


「これが意外とイケるんですよ」


「無理無理無理ー。僕は酢豚のパイナップルにも殺意を覚えるくらいだから。こんな邪道な__」


「僕の天使飯が食べられないと?」


スーッと目を細めると、石田先生は固まった。


「やっぱりブラックだ」なんだと言いながらも、先生は食べてくれた。決して美味しいとは言わなかったが、なんだか嬉しかったんだ__。



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