石田先生、天使になる⁉︎
石田先生、四国へ⁉︎
悪魔。それは誰しもの心に潜む別の顔。人は誰でも悪魔を飼っている。飼い慣らすのか、または手を噛まれるのか。紙一重。天使と背中合わせのjoker。その赤い紅で口づけを交わせば、高尚な魂が枯れよう。その眼差しに射抜かれたのなら、柔らかな心は石となる。その甘い吐息は天使をも酔い、痴(し)れさせる。煩悩という扉の閂(かんぬき)は、鉤爪が文字通りの鍵となる。一度(ひとたび)開けばもう、戻ることはできない。あとはその身を委ねるのみ。甘美な蜜が待っている。本当は毒だと、猛毒だと分かっているが後戻りはできない。さぁ、こっちへいらっしゃい。この手の中に。この、悪魔の手の中に__。
「川村くん、そういえば聞きたいことがあって」
「なんですか?」
「僕の死因てなんなの?」
「死因__」
ドキりと心臓が跳ね上がった。
もうドクドクとは動いてないが、ドキン‼︎とした。
いつその質問が来ても不思議じゃない。いや、逆に今まで石田先生が無頓着なだけに過ぎない。
「なんかこう、とても大きい歴史的な事件に巻き込まれたんじゃないかな?」
「いや__事故ですね」
「事故?あ、分かった。誰かを助けようとして身代わりになった的な?英雄チックなやつ?」
「いえ、単独なんですけど」
「単独?あ、分かった。僕が亡くなることで、大勢の人が助かる的な?自己犠牲な感じ?」
「いや、そんなんじゃないんですけど」
「なんなの?もったいぶらずに言ってよ」
「ショックとか受けませんか?」
「君、僕を誰だと思ってるの?あの石田だよ?」
「__そうですか。じゃ、遠慮なく」
1つ咳払いした僕は、どうして石田先生が亡くなったのか、そのワケを答えた。