石田先生、天使になる⁉︎
「な、なんだお前‼︎お前がそんなこと言ってどうする?それは私の役目だろ!人の仕事を勝手に取るな!」
あの悪魔が狼狽えている。
それでも天使は攻撃の手を緩めない。
「君が生ぬるいこと言ってるからじゃないか。まだまだ悪魔になりきれていないな」
「お前は一体なんだ?何者だ⁉︎」
「石田だけど?昔は議員やってて、ゆるキャラとかプロデュースしてて、ゴボちゃんはそこそこ人気があったな。それから忍者になって、パテシエの修行してたのに、なに1つ障害物のない平坦な道でコケて亡くなった石田だけど?」
なかなか長めな自己紹介。
先生にかかれば、悪魔も可愛いもの。
「この子の言ってることも最もだけど、殺して恨みが晴れる?安西さん、あなた彼のこと忘れられる?なにがこの男にとって1番の復讐かというと、それは、忘れることだよ」
「忘れる、こと?」
「そう、あなたが幸せになって、こんな男のことコレっぽっちも考えなくなること。それって、刺し殺すより完全に忘れられると思うけどな?」
「な、なにを生易しいことを。早く刺しなさい‼︎」
喚き散らす悪魔に、安西さんは向き直った。
「刺しても何も終わらない。苦しみが始まるだけ」
それだけ言うと、ナイフを思いっきり放り投げた。
キランとした光が渦に吸い込まれていく。その憎しみが、吸い取られていくように。
これで安西さんは地獄に行かなくてもすむ。
目には目を、悪魔には石田を作戦が見事に成功したのだ。
しかし、これで引き下がる悪魔ではない。