石田先生、天使になる⁉︎


わなわなと震えて怒っている。


「川村くん、タイプだよね?」


「はっ?」


「石田の目は誤魔化せないよ。君、自分は優等生ぶってるけど、ああいうエロくさい女子が好きなはずだよ?言い訳は聞きたくない、天使のくせいにその真っ赤な顔が物語ってるから。なんなら僕が代わりに合コン申し込んできてあげようか?」


「やめて下さい‼︎」


とは言ったものの、さすがは石田の目。実は、少なからず良いなぁ、と思っていたのも事実。けれど僕は天使。悪魔に恋心を抱くなんてこと、許されるものじゃない。


「ちょっと、話あるんだけど」


ブスっと不貞腐れた顔で、悪魔が僕に言った。どうやら、2人だけという意味らしい。


ふと見ると、先生の片目が痙攣している。どうやらウインクをしてエールを送ってくれているようだ。


ま、まさか⁉︎


「実は前から思ってて。ちょっと良いなぁって」


「えっ⁉︎ぼ、僕のこと?」


「そう。そのまだ仕上がってない天使の輪っか具合とか、素敵だなぁって。だからお願いがあって」


「お願い?」


こ、これはもう決まりじゃないか?


僕と付き合いたいっていう__。


「あのおっさん、悪魔にスカウトしたいんだけど?」


「はぁ?」


「いやだって、あたしより悪魔っしょ?」


投げキッスをして悪魔は行ってしまった。もちろん先生に向けてだ。


「なに怒ってるの?」


「怒ってませんよ」


「いや怒ってる」


「怒ってません」


「もしかしたらあれかな?君が後生大事にしている名古屋城を壊したからかな?」


「えっ⁉︎あれって、かまいたちの仕業じゃ?」


「いや、実は熊本城にいたっては、かなり早い段階で壊したんだよ」


「実はの使い方がおかしい‼︎このキャッスルクラッシャーめ‼︎」


そして先生を追いかける僕は、この時はまだ知らなかった。


天国に待ち人が居ることに。




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