石田先生、天使になる⁉︎
「始まりました天国会ゆるキャラコンテスト。栄えあるグランプリに輝くのは一体、どのゆるキャラでしょうか‼︎それでは登場して頂きましょう__」
天国会議事堂での開催は、天国1のイベントでもあり、今後、この天国を背負うに相応しいキャラクターの誕生を、全天使は固唾を飲んで見守っている。
いわば大舞台。
まだ新米の僕が、僕より新米の先生と、つい最近こっちに来たばかりのサッちゃんさんと共に戦いの場に挑もうと__。
「いいですか?右ですよ。右足からですからね!」
「それはサッちゃんから見た右足?それとも僕から見た左足?」
「先生からは左足です‼︎」
「わん!」
「あのっ‼︎それって、僕から見たらどっちですか‼︎」
「川村さんから見たら、やっぱり左かしら?」
「ちょっと待ってよ‼︎じゃ、僕どっちの足も同時に出すわけ?そんなの無理じゃん‼︎」
「どうせ先生、さらわれた宇宙人みたいに少し浮いてますから大丈夫です‼︎」
「てか、真ん中って、ポジション外れじゃない?」
「先生の身長が極端に低いので、バランスを保つ為には最善の策です」
「そもそも栗が最善じゃないんだよ」
「2人とも、覚悟を決めて下さい‼︎」
「わんわん‼︎」
もう、栗の中はてんやわんや。
なぜならどうして、インパクトを与える為に、サッちゃんは特大の栗を作り、その中に3人が入り込んで演じるという、いってみれば暴挙に出たのだ。
「それでは続きましては、天津甘栗ちゃんでーす!」
アナウンスに呼ばれ、舞台袖から呼吸を1つにして僕たちは踏み出した。
「そうえばさ、僕たちって足あるの?」
その先生の一言で、見事にすっ転んだ甘栗ちゃん、とりあえずツカミはオッケーということで。